今週のお題「読書感想文」
罪の声 塩田武士
コロナの影響で図書館に行けず、何冊か本を購入しようと見つけたのがこの本で、帯表紙には「これは小説だが、実話に違いない・・・恐ろしい読後感だ」と言う文字に惹かれ買っちゃいました。
何十年も前に起きたグリコ・森永事件を題材にしたもので、話の中に京都の街も出て来たので読み始めがスーッと入り込むことができた。
この当時の事は今でもあの「狐目の男」の似顔絵を思い出します。いつの間にか事件のニュースも出なくなり未解決事件として世間から遠ざかってしまいましたよね。
事件当時は関西での事件だとはまったくわからず、今こうして京都に住んでみると当時の人間模様がわかるような気がします。
京都人の儚さ、人との付き合いかた、人との繋がり方が事件を謎めいたものにさせているような・・・その一歩先を追求しないというか・・・そっとしておくと言うか・・・
京都でテーラーを営んでいた父親の店の跡を継いだ曽根俊也。
未解決事件の年末特集記事で「グリコ・森永事件」の全容を探っていくことになった阿久津という記者の二人の目線で綴られていくストーリー。
あることがきっかけで、子供の頃の自分の声が録音されたテープレコーダーを見つけてしまう。
その声が事件に使われていたものだと知った時、叔父が犯人かもしれないという疑問と犯罪者の家族であるという葛藤。
鍵を握るのは身近にいた人物なのか?
阿久津という記者との接触でこの男に出会わなければ?真実と一生向き合えなかったかもしれない。
読み進めていくとリアルに事件の全容を目の当たりにしているような、ホンマの話の記事を読んでいるような錯覚になりました。
結果犯人たちは何を残したんだろう?
事件にかかわった人たちの思いと犠牲になった家族、その子供たちの思いを考えると全容を掘り起こせば罪になりそうな、そっとしておきたいような切ない気持ちにもなった。